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学校行事

高校2年生修学旅行(国外)リポート 3日目

2018/03/06

今日も冷たい雨。しかも本降りです。今回の修学旅行は、本当に天候に恵まれません。本日の見学は、今回のイタリアでの見学のまさに目玉とも言うべきヴァチカンとサン・ピエトロ大聖堂から始まります。長蛇の列の入場希望者を横目に、私たちは団体予約入口に向かい、ヴァチカン博物館にスムーズに入場。入場イコール世界最小の独立国と言われるヴァチカン市国への入国を意味します。

ヴァチカン博物館ではまず世界史の教科書等にも写真があるヘレニズム期の彫刻ラオコーン像やヘラクレスの上半身と言われるトルソなどの彫刻の傑作を見学。タペストリーの回廊や地図の回廊を通過して、「アテネの学堂」があるラファエロの間に。この絵は教科書にもよく載っていますので、生徒は少々興奮。そしてその後が、いよいよシステナ礼拝堂です。システナ礼拝堂はローマ教皇選出のための会議の会場として知られますが、むしろルネサンス美術の結晶ともいうべきミケランジェロによる天井画と最後の審判があることで、見所満載のローマの中でも屈指の見学場所です。生徒は、その物理的な大きさと同時に、ミケランジェロの雄渾にして大胆な筆致に目を奪われていました。

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システナ礼拝堂の後は、隣接するカトリックの総本山サン・ピエトロの見学です。キリスト教世界最大の教会で、最近では映画「天使と悪魔」にも登場しました。この教会の巨大なキューポラと、処刑された我が子イエス・キリストを膝の上に抱き嘆く聖母マリア像(ピエタ)はミケランジェロの作品です。また、捻れた黒い柱が特徴的な巨大な祭壇はベルニーニ作です。この祭壇が奈良の大仏とほぼ同じ大きさということですが、それが感じられないほど、教会内部の空間が巨大です。教会内部の奥行きが186メートル超であり、生徒はそのスケール感にともかく圧倒されていたようです。

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昼食後の見学場所は、古代ローマの遺跡で、紀元1世紀に建設されたコロッセウムです。古代のローマ人が剣闘士と猛獣との闘いを好んで見たこと、そしてその市民の欲求に答える権力者の「パンとサーカス」と呼ばれる政策は世界史の時間にも登場しますが、このコロッセウムは当時帝国内に多数あった競技場の中でも最大のものでした。収容観客数は5万人といいいますから、東京ドーム並みです。人間と猛獣の闘いという競技自体は今日の私たちからみると如何なものかと思わざるをえませんが、観客が入りやすいようにゲートごとに番号が打ってあったり、競技場地下には猛獣の保管場所があった等々、そのシステムの優秀さには驚嘆するばかりです。生徒たちは、2000年の古に思いをはせていた様子でした。

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次は、古代ローマ帝国の官庁街であるフォロ・ロマーノです。紀元6〜5世紀頃、即ち共和制時代から徐々に整備されたこの国家の中枢部分は、帝国崩壊後の紀元5〜6世紀以降は荒廃し、ひと頃は牧草地に近い状態であったと言われています。ルネッサンス期には教皇庁が建設資材として転用すべく古代の建築物の石を拝借していたようです。現代では発掘や修復が進み、往時の偉容をしのばせる状態になっています。まさにカエサルやオクタヴィアヌスも歩いた場所であり、毎回感じることなのですが、タイムマシンに乗って古代に戻ったような錯覚を覚えます。今回の修学旅行では日本人の団体にも多数遭遇していますが、長い導線を歩き徒歩で訪れるしかないためかこのフォロロマーノでは日本人を殆ど見かけません。体力ある高校生であるが故の価値ある見学ということなのでしょう。

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近年はローマ市の方針で、古代遺跡近くにほとんどバスが入れません。歩いた方がはやいといういことで、フォロロマーノを出て、パンテオンまでは徒歩で移動。パンテオンとは、多神教であった古代ローマの全ての神々を祀る神殿という意味で、最初は紀元1世紀にアグリッパによって造られました。現在も残っている円蓋はサンタンジェロと同様、紀元2世紀にハドリアヌス皇帝によって造られたものです。パンテオンには、ラファエロとイタリア統一時の国王ヴィットリオ・エマヌエル2世の墓があります。今回は雨にたたれていますが、パンテオンの円蓋の頭頂部には大きな穴があけられており、この穴から雨が降り注ぐというやや珍しい光景を見ることができました。

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パンテオンの次は、ローマと言えばここ、とでも言うべきトレビの泉へ。近代の作曲家レスピーギに「ローマの泉」という作品があるように、ローマには多数の泉がありますが、「ローマの休日」のおかげでここが中でも最も知られているかもしれません。後ろ向きにコインを1枚投げると再びローマに来られる、2枚投げると恋愛が成就する、3枚投げるときっぱりと別れられるという言い伝え(実は案外最近の19世紀に造られた?)も有名です。泉の彫刻はバロック時代の作品です。今年の生徒達は、原則1枚のコインを投げ入れていたようでした。そして少々時間をとり、ジェラート・タイム。

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休憩後は、さらに10分ほど歩いて本日最後の見学場所ペイン階段へ。この頃になると雨があがりはじめ、階段を昇りきるとこの日初めての太陽が西の空の雲間からのぞいていました。太陽の国と言われるイタリアでこれほど太陽を見ないとは・・・。夕映えのローマの町を見ながら、太陽の有り難さを感じた瞬間でした。もっとも、夏のカンカン照りの中では、今日のこの距離を徒歩で見学するのはムリですので、これはこれで良かったのかも知れません。

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夕食はスパゲッティ・カルボナーラとトリッパ(牛の胃袋を煮込んだ典型的なローマ料理)。これでイタリアでの見学は終了。明日の朝のフライトが早いため、本日は空港ホテルでの宿泊となります。

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