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学校行事

高校2年生修学旅行(国外)リポート 6日目

2018/03/12

修学旅行も実質的に最終日となりました。生徒たちからは、ピサやフィレンツェを見たのがはるか昔に感じられるという声が聞こえてきました。あまりにも多くのものを見学してきたので、たしかに満腹感はあるかもしれません。

 

この日のヴィーンの朝は曇天。しかし予報では徐々に晴天に向かうとのことで、一安心。まずは、ヴィーンの宗教面での中心である聖シュテファン大聖堂を見学しました。今回はイタリアではルネサンス様式、バロック様式の教会建築を多数見学しましたが、それより古い時代の中世ゴシック期の教会を本格的に見学するのは、この聖シュテファン大聖堂が初めてです。ゴシック特有の高い天井、ステンドグラスは、イタリアで見た教会とは全く異なる印象です。不幸にしてこの教会は第二次世界大戦中の空襲のためオリジナルのステンドグラスの多くが失われていますが、その結果堂内が比較的明るいので、ゴシック式の彫刻や装飾を見るにはそれがプラスとなっています。イースター前ということで主催団は大きな布で覆われていたのが残念ですが、アルプス以北のゴシック建築の代表であるこの教会は生徒に強い印象を残したようでした。(教会内の写真撮影は認められています。)教会を背景に記念撮影を撮ろうとしても、その高さのためにかなり離れないと全体が収まりきらず、ゴシック建築の強い上方志向が実感できたと思います。

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次の見学先は、美術史美術館です。旧市街では貸切バスの乗降ができないため、全て徒歩での移動です。ヨーロッパでも三指あるいは五指に入るというこの美術館ですが、特に自慢としているのが、北方ルネサンス期のデュラー、農民をはじめとした庶民の生活を描いたブリューゲル、バロックの巨匠ルーベンスとヴェラスケス、バロックの鬼才アルチンボルドの作品ですが、その他にもラファアエロやフェルメールの名作もあります。この美術館の収蔵品はすでに日本で公開されたものもあり、それぞれ大きな話題となりましたが、実際に来てみると、それらがいわば氷山の一角であったことがよく分かります。この美術館では、今回バロック絵画に特に多くの時間を割いて見学。日本にキリスト教が伝えられたのは反宗教改革の旗手イエズス会によるものでしたが、バロック絵画も反宗教改革のためのプロパガンダとして劇的でわかりやすい内容である必要があった点などが、よく理解できたと思われます。(美術館内の写真撮影は認められています。)

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昼食はヴィーンのファミリーレストランWiener Wald(ヴィーンの森という意味)で。前菜のスープはドイツ語圏の代表的な料理であるレバーの団子の入ったコンソメスープでした。

 

食後はまずヴィーンの国立歌劇場へ。今回はオペラの鑑賞がでなかったため、昼間の劇場内部の見学になりました。演奏水準と演奏回数ではおそらく世界1〜2といわれるこの劇場ですが、この劇場のオーケストラのメンバーが自主的に運営するのが世界屈指のオーケストラであるヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団(略称ヴィーン・フィル)です。11日のニューイヤーコンサートで有名なヴィーン・フィルはほぼ毎年、歌劇場は4〜5年に1度の割合で日本に来ていますので、お馴染みの存在です。ヴィーンフィルのメンバーは、10年ほど前に駿台学園でも演奏しています。今回残念ながら内部の見学だけになりましたが、初めて入るヨーロッパの劇場内部の豪華な、そして19世紀的な装飾に生徒は感心していた様子でした。

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今回の修学旅行の日程も、いよいよ終わりに近づいて来ました。最後から2番目の見学先カールス教会への移動も徒歩です。移動途中、ユーゲントシュティル(ヴィーンのアールヌーヴォー)を代表するオットー・ヴァーグナーの設計した地下鉄駅舎の前で記念撮影。そのすぐ前にあるのが、カールス教会です。シェーンブルン宮殿と同じエルラッハの設計で、18世紀初頭ペストの沈静を祈願するために、皇帝カール6世が聖カール・ボロメウスに捧げる教会を建立したものです。皇帝カールが聖人カール・ボロメウスの献呈したので、カールス教会というわけです。完成は1737年で、外観は古代の神殿風ですが、内部は典型的なバロックになっています。円蓋の内側のフレスコ画が見事ですが、この教会では堂内に設置された特設エレヴェーターで円蓋のすぐ近くまで上がって見学できます。生徒たちの多くがかなり近い所でフレスコを見学し、さらに塔頂の展望台に上がってヴィーンの街を眺めていました。今回、ヴィーンではバロック様式の絵画、建築をかなり多数見たことになります。

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そしていよいよ最後の見学地が、中央墓地です。ベートーヴェンやシューベルト、ブラームス、ヨハン・シュトラウスなど、錚々たる作曲家の墓がここに集められています。遺体の行方が分からなくなってしまったモーツァルトの墓碑ではなく記念碑を中心に、左にベートーヴェン、右にシューベルトの墓があります。とくにベートーヴェンの墓石は有名で、しばしばCDのジャケットなどにも写真が使われています。また、この墓地には、カールス教会同様聖カール・ボロミウスの名を冠したユーゲントシュティル調の教会があり、ここも見学しました。ユーゲントシュティルの作品も、今回かなりたくさん見学したことになります。この墓地は、映画「第三の男」の最終シーンのロケが行われたことでも有名です。陽が西に傾く中のまっすぐな並木道を写真におさめる生徒もいました。

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以上で実質的な見学は終了。この後はヴィーンの空港に向かい、往路同様パリ経由での帰国となります。あまりに盛りだくさんの内容で、ピサを見学したのは先週の土曜日とはとても信じられないほど時間が経過したような錯覚を多くの生徒が持っていました。世界史や美術史・文化史が身近に感じられたという生徒も少なくないようです。今回の成果を、今後の学習その他に活かしていって欲しいと思います。

 

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