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学校行事

平成30年度 サマースクールリポート

2018/08/14

7月14日(土)~31日(火)の18日間、44回目となる海外サマースクールが実施されました。今年は、約2週間のアイルランドでの英語研修の後、バルセロナ1泊、マドリッド2泊とスペインを見学しました。宿泊については、前半がDCUのドミトリーに、後半がホームステイとなりました。

この夏の研修の模様をリポートします。

<1>語学研修

生徒の1日は、午前と午後に2等分され、英語のレッスンと課外活動が行われました。ここでは課外活動をご紹介します。

【1週目】

<Scavenger Hunt>

ダブリンに到着してから初めてのアクティビティーは、Scavenger Huntから始まりました。Scavenger Huntとは、英和辞典を調べると「借り物競争」となっていますが、Merriam-Webster Learner’s Dictionary では、a game in which players try to acquire without buying specified items within a time limitと説明されているように、(ワークシートに)用意された課題や質問をクリアしていくゲームです。DCU校内とDublin Cityでそれぞれのオリエンテーションを兼ねて行われました。

 

DCU内で行われたScavenger Huntでは、同時期に語学研修に来たロシアの学生とグループを組んで行いました。お互いの自己紹介から始まり、配付されたワークシートに書かれている人やモノの写真を撮りながら、DCUのキャンパス内の施設を見て回りました。以下がその一例です。

1. A picture of 5 people pointing at the DCU College sign.

2. A picture of a “Londis” shop sign.

3. A picture of the MLI t-shirt with the DCU sign.

 

後日、同様のゲームをCity Centreでも行いました。Dublinの中心には、ノーベル賞作家のサミュエル・ベケットや劇作家オスカー・ワイルドを輩出したアイルランド最古の大学「トリニティー・カレッジ・ダブリン(通称TCD)」があります。その周囲にはかつてのアイルランド議会議事堂(現バンク・オブ・アイルランド)、アイルランドで最もポピュラーなフォークソングの一つでも歌われている魚介類の売り子「モリー・マローン」の銅像をはじめとして、到る所に歴史を感じさせる建物やモニュメントがあり、生徒は初めて来る場所に興味津々の様子でした。ガイドの話を聞くのではなく、自ら探して目的のものが見つけることで、これから2週間過ごすDublinの理解を深めました。  

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<Dublin City Orientation>

Scavenger Huntだけでは回りきれなかった部分も含めて、語学学校のアクティビティーリーダからCity Centreのオリエンテーションを受けました。この日は、DCUから20分ほどバスに乗ったところにあるO’Connell Streetで降りて、市内を歩いて回りました。市内を走るバスはDublin Busと呼ばれ、100以上の路線があり、全て2階建ての車両が使われています(最近は、LUASと呼ばれる路面電車も走っています)。

ダブリンの中心にそびえるタワーSpireから、ショッピングセンターや青空市場などがある通りを歩いて、町を南北に隔てるリフィー川(アイルランド語で生命を意味する)を渡り、石畳が印象的な、多くのレストランやパブがひしめくTemple Bar(ここでのBarは、土砂が堆積した河口や砂州のことを指します)を通って、ダブリンでも最もにぎわうショッピングストリートGrafton Streetで自由時間。

別の日には、アイルランドで最大の教会の聖パトリック大聖堂St.Patrick's Cathedralの見学も行いました。この教会は、アイルランドの守護聖人・聖パトリックの名前にちなんでいます。この教会では、5世紀ごろに改宗者の洗礼が行われました。『ガリヴァー旅行記』で知られる、ジョナサン・スイフトが18世紀に大主教を務めたこともあり、彼と彼の恋人の墓があります。生徒は、英語での説明に戸惑いながらも、理解しようと努めていました。

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<Excursion to Kilkenny>

アイルランドに来て始めての休日には、首都ダブリンからバスで2時間ほどの場所にある、キルケニーに遠足に行きました。「キルケニー」という地名の由来になった町のシンボルともいえる守護聖人聖カニス大聖堂の入場見学から始まりました。現在の大聖堂は13世紀に建てられたものですが、そのすぐ隣にあるラウンドタワーはそれよりもさらに古く、11世紀ごろに建設されたキルケニーで最も古い建造物です。ラウンドタワーからは、キルケニーの街が見渡せます。内部では美しいステンドグラスや、キルケニーの領主ピアース・バトラーとその妻の墓などを見ました。

もう一つの見どころ、キルケニー城へ向かいました。12世紀に建設されたこのお城は、バトラー家の居城として使われました。城の裏手には、広大な芝生の庭があります。自由時間には、アイルランドで最も伝統のあるビール醸造所で、キルケニーを代表するレッド・エール、スミズウイックス・エクスペリエンスの前で写真撮影をしたり、キルケニー城の広場でくつろいだりして過ごしました。夕方、バスでDCUに戻ったあと、いよいよホームステイが始まりました。生徒は不安と緊張の面持ちの中、ホストファミリーと対面し、各家庭へと向かいました。

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<Excursion to Galway>

休日2日目は、首都ダブリンからバスで約3時間半離れたところにあるアイルランド西部の中心都市「ゴールウェイ」に日帰りの遠足です。まずは、緑色のドームが印象的な「ゴールウェイ大聖堂」の見学から。この大聖堂は、ゴールウェイ最大の建物として、またカトリック教会としては司教座の地位を持つ規模の大きなものとなります(先述の聖パトリック大聖堂も然りですが、カトリック国アイルランドでは、意外にもたいていの大きな教会はプロテスタント=アングリカン系です)。

 

その後、ハクチョウなどの水鳥が多く生息する、ゴールウェイ中心部を流れるコリブ川を散策しながら、スペイン門へと向かいました。この門は、大航海時代にヨーロッパ大陸、特にスペインとの貿易で栄えたことから「スペイン門」と呼ばれています。現在ある門は、ワインやブランデーの積み荷を降ろしていたところになります。本来であれば、レストランや雑貨屋がところ狭しと軒を連ねるキー・ストリートを通って、中心部にある、緑豊かな芝生が広がる広場「エア・スクエア(別名ケネディ・パーク)」に向かいますが、週末とあって人通りも多いことから、裏道を通り広場へ向かった後、一度解散し昼食をとりました。今回は、アイルランド最大の芸術祭Galway International Arts Festivalがちょうど行われていました。自由時間には、通りで行われていたストリートパフォーマンスをみたり、買い物をしたりして過ごしました。

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【2週目】

いよいよサマースクールも2週目に入ります。今週も英語の授業とアクティヴィティーという構成です。ここでは2週目のアクティヴィティーをご紹介しましょう。

7月24日(火)<Croke Park Stadium見学>

アイルランドには、独特の球技がありますが、その中でも国民的人気が高いのが、ゲーリックフットボールとハーリングです。ゲーリックとはゲール(語)のという意味で、アイルランドやスコットランドの先住民族(ケルト系)を示す時に使います。そしてこれら民族的スポーツの聖地がCroke Park Stadiumで、82,000席を収容するヨーロッパでも最大級の競技場です。

 実はCroke Park StadiumはDCUから比較的近い場所にあります。アクティビティリーダーたちの引率で、イタリア人のグループと一緒に市内方面行きのバスに乗り約15分程で到着。スタジアムでは、専属のガイドが1時間半のツアー(もちろん英語!)で館内を案内してくれました。

 ゲーリックフットボールといっても日本人には馴染みがありませんが、簡単に言えば手を使っても良いサッカーです。かといってラグビーとも全く違い、サッカーのようなゴールがあります。ハーリングは、ホッケーとサッカーを一緒にしたようなスポーツで、スティックを振り回すのでかなり危険に見えます。便利な時代で、インターネットで検索し動画を見ることが可能な時代ですので、ぜひ一度ご覧下さい。確かに手に汗握る競技です。

 Croke Park Stadium内には、ゲーリックフットボールとハーリングの基本動作を体験したりジャンプ力を測定する設備などがありました。実物のハーリングスティックでボールを打ったり、ゲーリックフットボールの球を蹴ったりと生徒は英語のガイドに苦しみながらも、体験を楽しみました。さらにアイルランド各州チームのユニフォームが飾られた部屋に案内され、自由にユニフォームを手に取り写真撮影をしました。アイルランド国外にも、ロンドンとニューヨークにチームがあるそうで、特にロンドンのチームは選手権ファイナルの常連だそうです。

しかし、生徒が一番興奮したのは、シャワールームや試合後に選手がくつろぐ部屋などを見学した後、試合開始前の出場選手さながらに一列になりフィールドへ向かった時でした。実際に選手たちが入場する通路を歩き一歩フィールドに出ると、鮮やかな芝が広がり、自分が選手になったような錯覚を覚えます。テレビの中継などでこのシーンをよく見ますが、自分が選手の立場に立つとどれほど気持ちが良いかが分かったという生徒が多かったようです。

 英語の説明とめったにできない体験が一体の、見事なアクティヴィティーでした。

 

7月26日(木)<National Botanic Gardens of Ireland>

この日はDCUから徒歩15~20分の所に位置するNational Botanic Gardens of Irelandを訪れました。この日もアクティビティリーダーの引率で、今回はロシア人のグループと一緒です。

National Botanic Gardensは、1975年に設立され、19.5ヘクタール(東京ドーム4つ分強)の敷地に2万種類以上の植物が生育しています。また、鉄骨とガラスを使った建築を得意とした建築家リチャード・ターナーが25年もの歳月をかけて設計し1896年に完成したヴィクトリア様式の温室が2棟ありますが、曲線を主体とした美しいデザインで有名です。設立当初は主に医療と農業用の植物に限られていましたが、現在では園芸研究と品種改良の主要施設となっています。

園内には、高山植物、熱帯植物、ばら庭園、湿地庭園、ハーブガーデンや、バレンと呼ばれる岩がゴロゴロしたアイルランド特有のロックガーデンなどが、テーマ別にレイアウトされています。約2時間の自由時間には、グループ毎に広い園内を思い思いに散策しながら、気に入った庭園や植物を撮影し、それに音楽や生徒の演技を加えたりして、それぞれ数分間のムービーを作成しました。

 

7月23日(月)・25日(水)<Sports Activity>

この2日間は、アクティビティリーダーたちによる実演を見せてもらいながら、ゲーリックフットボールの基本動作の練習と、ルールの説明を受けました。まず、一列になり1人ずつ基本動作を練習しました。その中で、サッカーとの違いである手の使い方や歩数のルールも学びました。その後、ロシアやイタリア、スペインの生徒たちと何度も試合を楽しみました。

広い芝生の敷地内では、ゲーリックフットボール以外にも、サッカーやバレーボールなど、各国の生徒たちと意見とアイデアを出し合って、思いっきり身体を動かしながら交流を図ることができました。

また、体育館でバレーボールもしました。今回の駿台学園の参加者の中には2名も女子バレーボール部員がいて(中学時代全国大会出場!)、その高いレベルのプレーには各国の生徒(含男子)もタジタジで賞賛されていました。スポーツがきっかけで会話が広がりました。

スポーツには国境なしとはよく言いますが、スポーツができることは、英語のコミュニケーションを学ぶ上で非常に役にたつことが分かりました。

【2週目最終日】

<修了式>

約2週間の語学研修の最後には修了式が行われました。駿台学園の生徒は、ロシアのモスクワから語学研修に参加していた学生たちと一緒に修了証を受け取りました。修了式では、語学プログラムの担当者がこの2週間の学習の振り返りつつ総括し、生徒一人ずつが賞状を受け取り、記念撮影を行いました。修了証には、新しい大学入試において言語能力を評価する際の基準として用いられる国際指標、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のレベルと授業で扱ったトピックが記載されています。

生徒たちは、海外の卒業式では一般的なsquare academic capを少し照れた様子でかぶり(このあたりの演出が日本人が思いつかないところかもしれません!!)、お互いに修了証を見せ合っていました。そこには、達成感と一抹の名残り惜しさが感じられました。この経験で、多くの生徒が英語を聞きとる力が格段に上がったと話しています。2学期以降、授業や検定試験でその結果が反映されるのではないでしょうか。

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DCU校舎              ドミトリーの部屋

 

 

<2>研修旅行

7月27日(金)

DCUを会場としたMLIの全ての研修と修了式を終え、2週間面倒をみてくれたポールさんとジェラルディンさんに見送られて、15:20にダブリン空港へ。ダブリン空港はかなりの混雑で搭乗手続きにかなり手間取りましたが、我われを乗せたエアリンガス便はほぼ定刻にスペインはバルセロナに出発。

バルセロナ到着はほぼ定刻でしたが、入国のためのパスポートコントロールが大混雑。ここを通過するのに1時間かかってしまったため、空港を出たのは23:50になってしまっていました。夕食は21:00あるいは22:00頃にとるというスペインにあっても、0:00過ぎという夕食はかなり遅いスタートです。しかし、まだアイルランド時間に体が慣れているためか、あるいはバルセロナの港近くのレストラン街のなんとも言えないくつろいだ雰囲気のためか、生徒たちはスペイン名物パエリャを十分堪能した様子でした。明日から本格的な見学に入ります。

7月28日(土)

バルセロナ見学の最初場所は、市内からバスで小一時間、郊外の山上にあるモンセラ修道院です。モンセラとはもともと「ノコギリの歯の山」という意味だそうですが、この一体の山はノコギリの歯のような奇怪な形をしていますが、ここはサクラダ・ファミリアの建築家ガウディのお気に入りの場所でもあたそうです。この山の上に11世紀創立のベネディクト派系の修道院があります。修道院には名高い黒マリアがあります。生徒達は、奇妙な山の姿に驚く一方、スペインの教会の内装にも強い印象をもったようでした。特にミサが始まり照明が入ると祭壇が輝き堂内の様子が一変、また女声の歌が響くと日本建築にはない長い残響が「これがヨーロッパだ」という雰囲気を醸し出していました。

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モンセラから市内に戻って昼食の後まず見学したのがピカソ美術館。ピカソは南方のマラガの出身ですが、一時期このバルセロナにも住んでいました。若き日の、普通の画を描いていた時期の作品のほか、人生の中の挫折や苦悩の過程ともいえる青の時代、そしてキュヴィズム期のものなど、非常に多数のピカソを見ることができて、生徒のピカソ観も変わったかもしれません。

その後はモンジュイックの丘へ。ここからは紺碧の地中海が見渡せます。さらに遠方に小さくこの後見学予定もサクラダ・ファミリアも望むことができました。丘からはロープウェイで降り、バスに乗りかえてサクラダ・ファミリアへ。

サクラダ・ファミリアは、この10年ほどの間に工事が急速に進み、あと数年で一応の完成を見る見通しとのこと。しかし、生徒たちは、午前中見学したモンセラからインスピレーションを受けたという外観もさることながら、日ごろのテレビ番組などではあまり見ることのないカラフルな内装により感銘を受けたようでした。あと何年か経って完成した頃にまた期待と言う生徒もいました。

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ガイドの方からは、カタロニアはスペインではないといえばスペインではない、もとは独立国であり、マドリッドあたりとはかなり異なる言語、文化、習慣を持っているとう説明が繰り返しありました。だからこそ、バルサとレアル・マドリッドはサッカーを超えたいわば国をあげての好敵手なのだということなのでしょう。

見学を終え、スペインの新幹線AVEに乗るべくサンツ駅へ。鉄道とはいえ、そこそこ厳しいセキュリティ・チェックを受けて乗車です。徐々に暮れゆくスペインの風景を左右に見ながら、列車はサラゴサ等を経由して約3時間でマドリッドへ。車内では飛行機のように映画も上映されていましたが、寝ている生徒も多かったようです。

マドリッド到着語夕食を済ませ、市内の夜景を見ながらホテル到着です。

 

7月29日(日)

マドリッドの最初の見学場所は、マヨール広場。実はスペインの首都がマドリッドに定められたのは1561年とヨーロッパの主要国の首都としては比較的遅く、幕府が置かれた江戸が発展したのとちょうど同じ頃に都市としての整備が始まりました。そのマドリッドの中では非常に速い時期に作られた広場で、現在なおこの町の中心地の一つです。中心には、フェリペ3世の銅像が建ちますが、この国王は支倉常長一行を謁見したことでも知られます。

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この公園から少し足を伸ばして聖イシドロ教会へ。この教会は当初イエズス会のために建てられ、この会の創設者の一人で日本にキリスト教を伝えた聖フランシスコ・サヴィエルに捧げられていましたが、勢力が強くなりすぎたイエズス会が18世紀にスペインから追放されると、マドリッドの守護聖人である聖イシドロに捧げられ今日に至っています。

次の見学先は、ソフィア王妃芸術センター。ここは、ピカソの傑作「ゲルニカ」があることで知られます。スペイン内戦時代の1937年4月に、右派のフランコを支援したドイツ軍が北部バスク地方の村ゲルニカを空爆した事件に題材をとっています。この作品は同年7月のパリ万博のスペイン館で公開されましたが、空爆に対するピカソの強い憤りを示す反戦的作品として知られます。美術や世界史の教科書にもよく掲載されていますがk、マドリッドから出ることはないと言われる巨大な絵画であり、ここに来て見るしかありません。白・灰・黒のほぼモノトーンながらやはり雄弁なこの作品の前で、生徒はいろいろ考えていたようです。この美術館では、このほかにダリやミロなどのスペインが誇る現代絵画の巨匠たちの個性的な作品を多数鑑賞しました。

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昼食の後は、レストラン近くのスペイン広場へ。この広場には、セルバンテスの創り出した特異なキャラクターであるドン・キホーテとサンチョパンサの像があります。日本では「ドンキ」などと呼ばれますが、「ドン・キホーテ」であり「ドンは」貴族の敬称です。

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次いで見学したのは王宮です。少々広くて贅沢であるということで、現在の国王即位以降は王宮としては使われずもっぱら国賓の接遇などに使われているとのことですが、豪華な内装に生徒は圧倒されていた様子でした。

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王宮の後はこの日最後の見学地であるプラド美術館です。プラドからはこの5月にヴェラスケスの作品がいくつか来日し特別展が開催され、美術選択者が見学をしていましたが、このプラドにはヴェラスケスがまだまだたくさんあります。特に巨大でありながら繊細で時代を200年先取りしていたという「ラス・メニーナス」の前ではガイドの方の説明にも熱が入り、生徒たちも熱心に見入っていました。その他、グレコやゴヤなどプラドの誇る作品も見学。ヨーロッパの1級美術館の質・量ともに圧倒的なコレクションのすごを感じてていたようでした。

プラド美術館の見学を終えた後は、我われもシエスタを取るべく(?)いったんホテルに戻りしばし休憩。19:30に再度出発してサマースクール最後の夕食へ。今晩のレストランはギネスブック認定の世界最古のレストラン「ボティン」。1725年の創業で作家ヘミングウェーも贔屓にしていたとうマドリッドを代表するレストランで、この日も大賑わいでいした。ここの名物料理は子豚の丸焼き。生後数週間のまだ小さい子豚のローストです。豚とはいいながらチキン顔負けの柔らかく淡泊な肉ですが、「少々かわいそう」という感じを持つ人もいるかもしれません。スペイン人が肉食の人たちだということを実感するレストランでした。この日は冷製スープのガスパッチョも出て、生徒はスペインの食文化を堪能したことと思います。

ペインも連日35℃近くの暑さですが、湿度が低く日陰に入るとかなり楽ですし、朝晩はある程度気温が下がるので日本のような厳しさではありません。生徒たちは、この意味でも大変な贅沢をしていたと思います。

 

7月30日(月)

サマースクールもいよいよ実質的最終日を迎えました。この日はマドリッドを出てセゴヴィアへ。この町はアルカサールと呼ばれる中世由来の城と古代ローマ時代の水道橋で知られます。典型的なマドリッドからの日帰り見学地です。

最初に見学したアルカサールは、一説にはディズニーランドの城のモデル(の一つ)になったとも言われますが、町のはずれの崖の上部に断っており、崖ど反対側には深い堀も掘られています。城というよりは要塞という感じですが、内部には昔の武具が多数展示されています。また、イスラム支配時代が長かったスペインにはイスラム文化・美術の影響が色濃く残りますが、この城にも所々イスラム風の意匠・デザインが使われており、フランスやイタリアの城にはない一種のエキゾチズムも感じられます。全日の王宮とは全くことなる雰囲気で、生徒達は興味深く見学していました。

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城の後は、街中で自由時間などをとりつつ水道橋前へ。古代ローマの水道橋というと、南仏のアヴィニョン近郊の「ポン・デュガール」が知られますが、やはり古代ローマ帝国支配下にあったスペインにも似たような水道橋が作られました。今から2000年近く前に水の安定供給のためにこれだけのインフラがあったということに驚かされます。スペインからはローマ皇帝も多数輩出しており、ローマ帝国内でも相応の重要性を持っていたことがうかがわれます。

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以上で見学は終了。マドリッド空港に移動しました。出発3時間前に到着したものの、空港の手続きは非常に非効率で1時間近くかかってしまいました。マドリッド出発が定刻より30分遅れたことで、パリでの乗り継ぎは駆け足になりましたが、なんとか間に合って羽田に向かうエール・フランス機へ。フライトそのものは順調でほぼ定刻通り、7月31日(火)の夕刻の羽田到着。スペインとは異質のサウナのような日本の夏に迎えられました。

それぞれの生徒がそれぞれの思い出を胸に帰国したことと思いますが、今回の経験を今後の英語学習や国際的な関心の涵養に役立てていってほしいと思います。

 

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