2022/11/13
4日目 京都班別研修
10月27日(木)、修学旅行4日目は、例年通り京都の班別行動です。生徒たちは班ごとに分かれ、それぞれの計画にそって京都市内の神社仏閣を巡りました。
京都といえば、誰もがまず思いつくのは金閣寺(鹿苑寺)でしょうか。この2年ほど、コロナ禍で拝観者が減少していた金閣ですが、この日は外国人の姿も多く、まずは往時の賑わいをとりもどした感がありました。現在私たちが目にする金閣は、1950年の焼失後に建て直されたもので、周囲を池と植栽に囲まれていますが、600年前足利義満が「北山殿」として鹿苑寺一帯を整備・開発した際は、実は巨大建造物のコンプレックスという様相を呈していました。金閣に隣接して天鏡閣と呼ばれる大きな建物がり、さらに近くには七重大塔もあって、この塔は京都の町中からもよく見えたようです。当時の北山殿はまさしく政治の中枢であり、義満は日明貿易で訪れた明の使者を、この地でもてなしたと考えられていますが、明の施設も義満の権勢にはさぞ驚いたことでしょう。生徒たちには、金箔で燦然と輝く眼前の金閣の姿だけでなく、金閣が見てきた歴史にも思いを馳せて欲しいと思います。
金閣とともに、銀閣(慈照寺)も全ての班が訪れました。金寺と違って派手さはありませんが、慈照寺の一角に残る東求堂は日本最古の書院造りの建物とされ、国宝です。東求堂で最も重要な部屋は、四畳半の茶室です。古今東西、世の為政者と言われる人の多くは、巨大で豪華絢爛な宮殿を建てることでその権力を誇示したものであり、義満の金閣もその典型ですが、足利義政と慈照寺はその全く対極にいました。銀閣にしろ灯具党にしろ、わび、さびといった日本の伝統文化が持つ基調の一つの原点と考えられます。例年見学後に金閣寺と銀閣寺のどちらがよかったか聞くと、たいていは金閣を挙げる生徒がやや多いようですが、案外意見は分かれます。日本人は、キラキラした黄金文化(例えば桃山時代の屏風絵)も、渋いものもともに愛好してきましたが、中学3年生にもなれば、銀閣の幽玄な魅力も理解してほしいところです。
多くの班が訪れたのが、龍安寺です。あまりに有名なその石庭の前では、多くの観光客が佇み、じっと庭園に見入っていました。生徒たちも心が落ち着くのか、並んで座り、しばしの時間を過ごしていたのが印象的でした。
南禅寺にも複数の班が訪れました。臨済宗南禅寺派の大本山であり、京都五山の上におかれる別格扱いの寺院です。開基は亀山法皇で13世紀のことですが、室町幕府やその後の天下人たちにも支援をされ、京都でも一二を争う豪奢な堂宇です。方丈庭園は江戸初期の茶人大名としても有名な小堀遠州の作と伝えられ、開放的な枯山水の空間が印象的です。今年は比較的涼しい10月であったため、ここ数年で一番涼しく、広い境内には早くも紅葉した木々が散見されました。南禅寺水路閣がいまなお琵琶湖の水を運んでいます。近代の建築物が境内に同居しているのもこの寺院の魅力で、生徒たちは煉瓦造りのアーチ構造が印象的なその水路を興味深げに見上げていました。
他にも、仁和寺、妙心寺、下鴨神社、北野天満宮など、各班様々な寺社を訪れていました。今日は終日公共交通機関と徒歩による見学で、京都の町の雰囲気を肌で感じることができたのではないでしょうか。夕食も班別でそれぞれ異なった場所に行き、良い思い出の残る一日になったと思います。
いよいよ明日が最終日。あと1日気を引き締めて見学に集中して欲しいと思います。