2018/12/03
11月30日(金)、最終日の朝も快晴。今回は一度も傘を広げることなくここまで来ました。
最終日最初の見学地は今治造船西条工場です。08:00今治国際ホテルを出て、09:55に今治造船着。造船所の方がバスに乗り込んで、説明を聞きながら工場の中を見学しました。巨大な建屋の中では、多数の人によって大小様ざまな鋼板が切断されています。これらの鋼板を組み立てて多数のブロックが作られ、それを溶接で接合して次第に大きなパーツができあがっている様は、ある意味でプラモデルの製作に似ています。といっても各パーツは非常に巨大で重く、巨大なクレーンで持ち上げ移動させている訳で、ともかく他の工場とはスケール感が違います。
途中バスを降りて今度はドックに向かいましたが、今年は運良く巨大コンテナ船がドックの中で翌日の進水式を待つばかりの状態でした。外観はほぼ完成状態の船で、すでにドック内には海水が引き込まれています。近くで見ると、さらに迫力が違います。このコンテナ船を間近に見ながら、造船についてのいろいろな説明をききました。このコンテナ船も含め、工場内には現在艤装作業中の船が数隻係留されていましたが、いずれも発注者は台湾の企業だそうです。現在のアジアのパワーを感じさせられましたが、客先の多様さから、今治造船の優れた技術への信頼の高さも実感しました。
10:00に西条を出て、旅の最後の訪問地松山に向かいました。車中で弁当を食べ、松山到着後最初に見学したのは、松山出身の俳人・歌人の正岡子規を記念した子規記念博物館です。まず子規の生涯に関する映像を見て、その後学芸員の方に案内していただきました。子規は漱石の友人ですが、その関心は自由民権運動からやがて文学へと移り、肺結核と脊髄カリエスで短い生涯を終えるまで、文学の刷新に大きな足跡を残しました。子規が結核を病んでいるにもかかわらず、ほぼ2か月松山の下宿で生活をともにした漱石は子規を無二の親友と思っていたに違いありません。子規は東京では田端に住みましたので、駿台学園の中学生としても親近感を持ったはずです。
その後は徒歩で5分移動して、道後温泉本館へ。日本で最も有名な温泉の一つですが、いわゆる道後本館は来年1月から改修のためほぼ7年間その全容を見ることができなくなります。生徒たちは、一瞬『坊っちゃん』になりきった気持ちになったかもしれません。なお、この本館はジブリの「千と千尋の神隠し」のモデルになったと言われています。今回同行したフランス人留学生によると、フランス人の親日家youtuberの投稿を通じて、道後本館はフランス人の間でも結構有名、とのことでした。
その後は、今回最後の見学場所である正岡子規の家へ。この小さな家は子規の死後移築されたものです。同じ敷地内には、「坊っちゃん」に登場るす「マッチ箱のような」列車が保存されていす。すべての見学を終え、途中「坊っちゃん」に登場するターナー島を車窓から見ながら、松山空港へ。空港でしばしお土産を買って、私たちはほぼ定刻通りに松山を飛び立ち、東京へと向かいました。
この秋季校外学習では、机上で学ぶこととはまた違った、中身の濃い学習ができたと思います。多くの方に協力頂き、天候にも恵まれて、良い旅となりました。生徒の見学姿勢も良好で、毎年訪れている場所ですので、「また来年ね」と声をかけて頂くことも少なくありませんでした。生徒にはまたとない経験となったと思います。