2018/09/15
9月13日(木)18:30から、中学校1~3年の特選クラスの生徒が、王子・飛鳥山公園の野外舞台での「飛鳥山薪能」(北区主催)の鑑賞に行きました。
薪能は、もともと神事として野外で薪を燃やしながら演じられた能楽です。江戸時代から庶民の行楽地として名高い北区王子の飛鳥山では、江戸開府400年を記念して2003年 に薪能を上演し、今では秋の恒例行事となっています。本校としては、1年ぶり2度目の鑑賞となります。
第16回を迎える今年度は、狂言「二人大名」と、能「紅葉狩」が取り上げられました。「人間国宝二題」と称し、演者に狂言は野村万作、能は野村四郎という、人間国宝の兄弟に、日頃テレビでもおなじみで2020年東京五輪・パラリンピックの開閉会式の演出を総合統括することになった野村萬斎も出演するとあって、非常に豪華な顔ぶれとなりました。
また、今回は日本で初めての試みとして、千人を超える野外劇場で全席を対象とした字幕ガイドサービスアプリによって、台詞が難しい能の上演中は字幕をリアルタイムで配信するということで、本校は全生徒がiPadを持参して鑑賞しました。
火入れ式が終わったあと、まず上演されたのが「二人大名」。NHKの「にほんごであそぼ」において、野村萬斎自身の出演によって放送されたことのある演目です。お供を連れずに出かけた二人の大名が、たまたま通りかかった男を無理やり従者に仕立てますが、逆に男によってやりこめられてしまうという内容です。大人には狂言の台詞は理解できるだろうとこの演目では字幕配信がありませんでしたが、生徒たちは最初こそ狂言独特の節回しにとまどったものの、次第になれて内容を理解しはじめ、最後の場面の男と二人の大名とのやりとりはきちんと理解し、狂言独特のこっけい味や諧謔を理解していました。
その後、「紅葉狩」の上演が始まり、シテが舞台に上がったところであいにくと雨が降ってきました。しばらく待ったものの、残念ながらそのまま中止となってしまいました。いっぱんに謡曲の内容は、古典からの引用や掛詞が多用され、不慣れな人には理解が難しいのですが、今回はアプリによる字幕サービスがかなりの助けになっていました。それだけに、雨天で途中打ち切りとなったことが残念でした。しかし、舞台を去る演者が、決して慌てず能独特の所作で去る姿には、生徒も感銘を受けていた様子でした。