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●第18回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
2024年12月14日(土)15:00~16:30 瀧井 一博 先生 『明治憲法への道』
<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>講座、第18回を12月14日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回は近代が対象でで、テーマは「明治憲法への道」、講師は 瀧井 一博 先生(国際日本文化研究センター教授)です。
教科書上の明治憲法の扱いは、この30年で少しずつ変化してきた模様です。かつては、現行の日本国憲法との比較から、帝国憲法の問題点や後進性(欽定、天皇主権等々)といった面を強調する傾向が顕著でした(教科書の記述以上に、実際の教室での説明はいっそう辛口だった可能性もあります)。しかし、今日では1890年前後の発布ということを考えれば、旧憲法はかなりの程度先進的であり、その運営も君主独裁という表現からはほど遠い穏健なものであったこと等が重視されるようになっています。瀧井先生は、2003年のご著書『文明史のなかの明治憲法』以来、長きにわたり帝国憲法や戦前の立憲政治のイメージを刷新する研究者の中心的な存在です。
現実の政治にはかなり重症の閉塞感がある現代の日本ですが、一方で憲法の改正は規定上極めて困難です。では、2024年に生きる私たちは何を考えれば良いのか、今回の講座は日本史だけでなく政治経済の担当者にも大いに参考になる内容になるかと思います。ふるってご参加頂ければと思います。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。今回も、会場参加者には抽選で講師の著書を進呈いたします。
- 講演要旨(師から頂いたものをそのまま掲載しています)
1889年(明治22年)に発布された大日本帝国憲法(明治憲法)によって、日本は立憲国家となりました。その後、軍国主義のもとでの憲法政治の挫折や第二次世界大戦の敗戦後の憲法改正はありましたが、日本はこれまで立憲主義を堅持してきました。なぜ明治維新後の日本は憲法の制定を行ったのでしょうか。この講演では、明治憲法を作るにあたって大きな影響があった3つの旅―1871年の岩倉使節団、1882年の伊藤博文の憲法調査、1888年の山県有朋の議会政治視察―を振り返り、大久保利通、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋といった明治のリーダーたちが、どのようなものとして憲法を捉え、なぜそれを日本にとって必要なものと考えたのか、また、そこにいかなる課題を見出したのかを考えます。明治日本の経験は、当時よりはるかに民主主義的な現代に生きる私たちにとっても、貴重な教訓を与えてくれることでしょう。また、これから憲法を作ろうとしている国、憲法を作ったがうまく機能していない国にとっても大切な先例となります。日本は世界にどのような貢献ができるのかということも念頭に置きながら、憲法制定を目指した明治日本の歩みをたどります。
- 瀧井 一博 先生 略歴
1967年 福岡県生まれ
90年 京都大学法学部卒 92年 同大学院法学研究科修士課程修了 95年 同博士後期課程単位取得退学
94年 日本学術振興会 特別研究員 95年 京都大学人文科学研究所助手
2001年 神戸商科大学商経学部助教授
04年 兵庫県立大学経営学部助教授などを経て
07年 国際日本文化研究センター准教授 13年 同教授 博士(法学・京都大学 1998年)
24年 紫綬褒章
- 主な著書等(単著のみ掲載)
<単著>
『文明史のなかの明治憲法』 講談社選書メチエ 2003年 <角川財団学芸賞><大佛次郎論壇賞>
『明治国家をつくった人びと』講談社現代新書 2013年
『渡邉洪基 : 衆智を集むるを第一とす』 ミネルヴァ日本評伝選 2016年
『伊藤博文—知の政治家—』 中公新書 2010年社 <サントリー学芸賞>
『大久保利通―「知」を結ぶ指導者―』新潮選書2022年 <毎日出版文化賞>
『増補 文明史のなかの明治憲法 : この国のかたちと西洋体験』ちくま学芸文庫2023年
<共著・共編ほか>
『「明治」という遺産―近代日本をめぐる比較文明史』 ミネルヴァ書房 2020年
『明治史講義 : グローバル研究篇』,ちくま新書2022年
『「歴史の黄昏」の彼方へ―危機の文明史観』 千倉書房2021年
『明治維新と大衆文化』 思文閣出版 2023年
『宗教・抗争・政治 : 主権国家の始原と現在』 千倉書房 2023
◎<第18回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校 □後 援:森上教育研究所
JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分
【講演のお申込み方法】 事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。
◆形 式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom) ◆定 員:対面30名+オンライン ◆締 切:12月12日(木)23:59 ◆参加費:無料 ◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
【お問い合わせ先】 ◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。 電話:03-3913-5735 email:history@sundaigakuen.ac.jp 担当 平瀬 |
◎今後の予定
以 上