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●第19回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
2025年1月25日(土)15:00~16:00 新田一郎 先生 『「徳政」研究の今とその先』
<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>講座、第19回を1月25日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回は中世が対象で、テーマは『「徳政」研究の今とその先』、講師は 新田一郎 先生(東京大学法学部教授)です。新田先生は、講談社の通史シリーズの『日本の歴史(11)太平記の時代』の著者としてお馴染みかと思います。
中世の「徳政」をめぐる研究は、1970年代後半~1980年代に飛躍的な発展をとげ、何年かのタイムラグを置きつつも教科書の記述もかなりの変遷をとげてきました。しかし、にもかかわらす、今日なお中等教育の場では教えにくいテーマの一つであることは、否定できないかもしれません。背景の一つには、中世人と現代人の間の法概念の違いや、何を正当とか公正と感じるかといった社会原理に関連する根本的なギャップがあるようです。
徳政研究はその後も進展しており、今後教科書の記述はもちろんのこと、入学試験での出題のされ方にも変化が生じる可能性があります。今回は、この分野の第一人者の新田先生に、ここまでの研究史を振り返りつつ、このテーマの今後の展望についても触れて頂く予定です。ふるってご参加頂ければと思います。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。今回も、会場参加者には抽選で講師の著書を進呈いたします。
- 講演要旨(講師から頂いたものをそのまま掲載しています)
かつて、経済秩序を混乱に陥れ鎌倉幕府衰亡の一因をなした「借銭破棄の悪法」とされていた「永仁徳政令」を、「ものの戻り」をキイ・コンセプトとして読み替えた笠松宏至氏の「徳政」研究は、日本中世史学者だけでなく関連他分野の研究者や一般読書人の想像力を大いに刺激して、「現代人の常識をはるかにこえた」日本中世の特徴的な法慣習をめぐる多くの魅惑的な問いを生み、1980年代の「中世史ブーム」の一翼を担った。爾来40年の時を経て、投げかけられた問いはどのように回収されただろうか。「中世」は、現代の学知の射程に捉えられたのか、それとも今なおエキゾチックで謎に満ちた異世界なのか。本講演では、永仁徳政令から嘉吉徳政令へ、「徳政令」の性格変化とその背景をなす社会構造の推移をたどり、さらには近世への展開を見据えて、法制史学の視点から「徳政研究の今」のもう少し先を見通すことを試みる。法は何を捉えようとしていたのか、誰に必要とされ、いかにして作動し、人々の振舞いをどのように変えていったのか。「徳政令」と構造的に比較可能な法現象は、近世にも現代にも見出だされる。そこには、人々の間に法が呼び込まれるからくりの一端が垣間見られ、「日本人の法意識」の構造を問ういとぐちが発見されるであろう。
- 新田 一郎 先生 略歴
1960年 東京都生まれ
84年 東京大学文学部国史学専修課程卒業
86年 同大学院人文科学研究科国史学専攻修士課程修了、88年 同博士課程退学。
88年 同法学部助手、91年 同大学院法学政治学研究科専任講師、93年同助教授。
2004年 同教授
- 主な著書等(単著のみ掲載)
<単著>
『相撲の歴史』 山川出版社 1994年 講談社学術文庫 2010年
『日本中世の社会と法 国制史的変容』 東京大学出版会 1995年
『日本の歴史(11) 太平記の時代』 講談社 2001年 講談社学術文庫 2009年
『中世に国家はあったか』 山川出版社 2004年
『相撲のひみつ』 朝日出版社 2010年
『相撲 その歴史と技法』 日本武道館 2016年
<共著・共編ほか>
『罪と罰の法文化史』 東京大学出版会 1995年
『新体系日本史2 法社会史』 山川出版社 2001年
『暴力 比較文明史的考察』 東京大学出版会 2005年
『法が生まれるとき』 創文社 2008年
『天皇の歴史04 天皇と中世の武家』 講談社 2011年 講談社学術文庫 2018年
◎<第19回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校 □後 援:森上教育研究所
JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分
【講演のお申込み方法】 事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。
◆形 式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom) ◆定 員:対面30名+オンライン ◆締 切:1月23日(木)23:59 ◆参加費:無料 ◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
【お問い合わせ先】 ◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。 電話:03-3913-5735 email:history@sundaigakuen.ac.jp 担当 平瀬 |
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