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第5回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
第5回講座を、10月21日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今月のテーマは、「平安時代の受領と国家体制、そして尾張国解文」で講師は山口英男先生(東京大学史料編纂所教授)です。
中学・高等学校の日本史では非常に馴染みのある、入学試験でも頻出の「尾張国解文」をめぐる平安時代史がテーマです。お誘い合わせの上、ご参加ください。
◎講演要旨(講師から頂いたものをそのまま掲載しています)
平安時代の中頃、10~11世紀は、それ以前の律令制とは異なるけれども、律令制の経験を引き継ぎながら、それなりに安定した国家体制が新たに成立した時代であると、多くの研究者が考えるようになっています。藤原道長に代表されるような平安貴族による華やかな文化の展開といったイメージの平安時代社会を生み出す原動力の一つがそこにありました。そのポイントは、地方社会で生み出された「富」が、全国から都に環流してくるシステムが出来上がった点にあります。そのシステムの担い手が「受領」です。受領は、国内における税の徴収、定められた物資の朝廷への貢進、地方財政の維持といった業務を請け負うことで、一国の支配を委任されました。平安時代の国家体制の中で受領が果たした役割はそれだけではありません。受領によってかき集められた地方の「富」が、都へ、そして中央貴族へ、様々な形で流れ込んでいきました。朝廷を運営する最上級の貴族たちが、人事を通じて受領を統制する仕組みも固まります。尾張守藤原元命・信濃守藤原陳忠などが「強欲な受領」として教科書でも取り上げられますが、受領が「強欲」であることは体制にとっても必要だったのです。元命は、尾張国解文で国内の郡司百姓らに訴えられ、解任されました。解文は、受領の強引なやり口を具体的に伝える貴重な史料です。それとともに、当時の社会体制の中での朝廷・貴族・受領・地方社会の政治関係を尾張国解文から紐解く視点も生まれてきています。
◎山口 英男 先生 略歴
1958年東京都生まれ。
1982年東京大学文学部国史学科卒業、1984年同大学院人文科学研究科修士課程(国史学専攻)修了、1985年同大学院人文科学研究科博士課程(国史学専攻)中退。
1985年同史料編纂所助手、1996年同助教授、2004年同教授 博士(文学・東京大学)
◎主な著書等:
「日本古代の地域社会と行政機構」(吉川弘文館 2019年)
『古代文書論』(共編 東京大学出版会、1999年)
「正倉院文書と古代史料学」(『岩波講座日本歴史』22、岩波書店、2016年)
「正倉院文書に見える「口状」について」(『史料・史跡と古代社会』、吉川弘文館、2018年)
「装潢小治田人公口状とその背景」(『古代日本の政治と制度―律令制・儀式・史料―』、同成社、2021年)
「畿内近傍の牧と馬寮の馬」(『講座畿内の古代学』Ⅳ軍事と対外交渉、雄山閣、2022)ほか
◎<第5回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校
□後 援:森上教育研究所
●日 時:2023年10月21日(土)15:00~16:30
●講 師:山口 英男 先生(東京大学史料編纂所教授)
●題 目:「平安時代の受領と国家体制、そして尾張国解文」
【講演のお申込み方法】
事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。
◆形 式:対面(駿台学園視聴覚室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom)
◆定 員:対面30名+オンライン
◆締 切:10月19日(木)23:59
◆申し込み方法:下のURLもしくは、QRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
Zoomのアプリは、無償でダウンロードが可能です。利用法は、至って簡単です。
申し込みが完了した方には、10月19日(木)以降、順次ご登録いただいたメールアドレスにズーム参加用のID、パスワード等をお送りします。
当日は、講義開始15分前までにZoomからミーティングに参加、またはご来校ください。Zoomに参加する際は、申し込み時と同じ名前をお使いください。
新型コロナウイルス感染防止のため、本校では下記の対応を行います。
・視聴覚室は常時扉や窓を開放するなど、換気に努めます。
・感染防止のために、上履き(スリッパ)は用意いたしません。靴底をマットで軽く拭き、土足のまま入校してください。
【お問い合わせ先】
◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、メール・電話で担当までお願いします。
電話:03-3913-5735 email:history@sundaigakuen.ac.jp 担当 平瀬