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●第17回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ
<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>講座、第17回を11月16日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回は織豊期が対象で、テーマは「信長と天皇」、講師は堀 新 先生(共立女子大学教授)です。
日本人に最も人気のある戦国大名と言えば、おそらく織田信長でしょう。信長への興味が、やがて歴史全般への関心へと発展していったという人は、少なくないと思われますし、今でも夥しい数の信長や本能寺の変に関連した書籍が出版されています。しかし、巷間流布されている信長にまつわる逸話や通説は、落ち着いて考えて見ると、胡散臭いものも少なくなく、信長人気のかなりの部分は虚構の上に形成されているのは間違いありません。
今回の講座は、こういった信長像をそろそろ修正していこうではないか、という内容になります。学校の教室でも人気の信長が、本当はこんなことをした人だったんだという話は、生徒の持つ信長像をスクラップアンドビルドしてくれるでしょう。刺激に富む内容になるかと思いますので、ぜひ、ふるってご参加ください。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。今回も、会場参加者には抽選で講師の著書を進呈いたします。
- 講演要旨(師から頂いたものをそのまま掲載しています)
私が学生の頃、「織田信長は天皇制をあと一歩まで追い詰めた」と教わりました。しかし関係史料を読み直してみると、むしろ逆でした。信長は(秀吉や家康も)天皇制打倒など考えておらず、天皇と結びつき、天皇を保護してその権威を守ろうとしていました。
この講演では、信長が天皇を圧迫していた代表例とされる①正親町天皇への譲位、②興福寺寺務相論、③三職推任をとりあげます。①は1573年に足利義昭を追放して室町幕府を滅亡させた信長が、その勢いに乗って天皇に譲位を要求し、天皇は辛くも逃げ切ったとされています。②は1576年に興福寺寺務職をめぐる対立に信長が介入し、これ以降は信長が朝廷の生殺与奪を握ったとされています。③は1582年に朝廷が信長に強要されて「太政大臣か関白か将軍か」に推薦し、それに義憤を感じた明智光秀が信長を本能寺に急襲し、信長の政権構想が永遠の謎になってしまったとされています。
①~③はいずれも誤解なのですが、その背景には、信長は征夷大将軍任官を望んでおり、前例のない平姓将軍を拒む天皇との間に深刻な対立があると考えられてきたことがあります。「世間一般の信長イメージは(面白いけど)間違いばかり」とまでは言いませんが、「そろそろ変えないと」と思っています。
- 堀 新 先生 略歴
1961年 岡山県生まれ
85年 早稲田大学 第一文学部日本史学専攻卒 87年 同大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了
93年 同博士後期課程日本史学専攻単位取得退学 97年 東京大学史料編纂所非常勤研究員
97年 共立女子大学文芸学部専任講師、2001年 同文芸学部助教授、09年 同教授
博士(2009年 早稲田大学)
- 主な著書等(単著のみ掲載)
<単著>
『歴史と古典 信長公記を読む』吉川弘文館 2009年
『日本中世の歴史7 天下統一から鎖国へ』吉川弘文館 2010年
『織豊期王権論』校倉書房 2011年
『戦国軍記・合戦図屏風と古文書・古記録をめぐる学際的研究』共立女子大学 2019年
『戦国軍記・合戦図の史料学的研究』共立女子大学 2024年
<編著・共編ほか>
『新編千代田区史 通史資料編』千代田区役所 1998
『新編千代田区史 通史編』千代田区役所 1998
『展望日本の歴史13 近世国家』東京堂出版 2000
『<江戸>の人と身分3 権威と上昇願望』吉川弘文館 2010
『消された秀吉の真実』柏書房 2011
『偽りの秀吉像を打ち壊す』柏書房 2013
『戦国大名の古文書 東日本編』 2013
『戦国大名の古文書 西日本編』 2013
『豊臣政権の正体』柏書房 2014
『豊臣秀吉の古文書』柏書房 2015
『織田信長の古文書』柏書房 2016
『秀吉の虚像と実像』笠間書院 2016
『信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿』文学通信 2020
『家康徹底解読 ここまでわかった本当の姿』文学通信 2023
◎<第17回駿台歴史講座> 参加方法
□主 催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校 □後 援:森上教育研究所
JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分
【講演のお申込み方法】 事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。
◆形 式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom) ◆定 員:対面30名+オンライン ◆締 切:11月14日(木)23:59 ◆参加費:無料 ◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。
【お問い合わせ先】 ◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。 電話:03-3913-5735 email:history@sundaigakuen.ac.jp 担当 平瀬 |
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