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●第23回<駿台歴史講座> 開催のお知らせ

日 時: 2025年5月17日(土) 15:00~16:30

講 師: 菊地 大樹 先生 (東京大学史料編纂所教授)

演 題: 『鎌倉新仏教論の現在

<教科書・新書・選書の著者から直接話が聞ける講座>を目指して2023年に開講した<駿台歴史講座>も、おかげさまで3年目に入りました。第23回の講座を5月17日(土)15:00から対面とオンラインで開催します。今回の対象は中世で、テーマは『鎌倉新仏教論の現在』、講師は菊地大樹先生(東京大学資料編纂所教授)です。

「鎌倉新仏教」というと、高校日本史の世界では、網野善彦の『無縁・公界・楽』を引用しつつ、「なぜ平安末・鎌倉という時代にのみ、すぐれた宗教家が輩出したのか」受験生の見解を求めた、今から40年以上も前の1983年度の東京大学の入試問題がよく知られています。この問題は、「日本の歴史学がいまだに完全解答をみいだしていない」と断った上での出題であり、昨今さかんな「一つの正しい正解があるわけではない、考えさせる」出題の嚆矢となったとも言えそうです。多くの研究者みなさんも、高校生時代にこの「過去問」に一度は取り組んでいるのかもしれませんが、現在の歴史家はどのように答えるのか、あるいは設問自体を見直すべきなのか、興味が尽きないところがあります。菊地先生からは、有益なお話が伺えるものと、期待が高まります。ふるってご参加頂ければと思います。お知り合いの方にもお知らせ頂けると幸甚です。今回も、会場参加者には抽選で講師の著書を進呈いたします。

 

  • 講演要旨(講師から頂いたものをそのまま掲載しています)

鎌倉時代には、法然・栄西・道元・親鸞・日蓮らがつぎつぎに現れた。彼らは、浄土宗・禅宗・浄土真宗・日蓮法華宗など現在の仏教諸宗の祖師として仰がれている。これらの宗教運動に共通する特徴として、専修や易行、民衆性が見出されてきた。これが従来の鎌倉新仏教論であり、長く定説として市民のあいだにも広く浸透している。しかし近年、東大寺・興福寺・延暦寺・東寺など中世の大寺院が社会に果たした役割を見直そうとする動きが進んでいる。それらに比べれば、新たな仏教教団が芽生えたとはいえ、その規模や社会的影響力は実態としては小さなものであった。もちろん大勢に囲まれつつも、これらの教団が祖師以来の信心を軸として、新たな思想とともに後の時代に継承されていった意義が薄れることはない。

そこでこの講義では、まず鎌倉新仏教論が近代の日本で生まれた言説であることを確認する。その上で、平安時代以来の既成の宗教との対立関係をはらみながらも、実態としては大寺院の中から生まれてきた宗教儀礼や経済活動などをベースにして、新たな宗教運動を展開していったことを跡づける。最後に、近年の大寺院における膨大な聖教調査の成果や、そのおかげで急速に発展してきた密教の役割にも光を充てながら、あらためて鎌倉仏教の特徴を見直してみたい。

 

  • 菊地 大樹 先生 略歴

 1968年 東京都生まれ

92年 東京大学文学部国史学専修課程卒業

94年 同大学院人文科学研究科国史学専攻修士課程修了

95年 同博士課程退学、同史料編纂所古文書古記録部門助手(助教)、10年 同部門 准教授

20年 プリンストン大学宗教学部客員准教授

21年 東京大学史料編纂所古文書古記録教授  24年 同古代史料部門に異動   博士(2008年・東京大学)

 

  • 主な著書等

<単著>

『中世仏教の原形と展開』 吉川弘文館 2007年)

『鎌倉仏教への道―実践と修学・信心の系譜―』 講談社 2011年

『日本人と山の宗教』 講談社 2020年

『吾妻鏡と鎌倉の仏教』 吉川弘文館 2021年

 

<共著・共編ほか>

『中世の寺院と都市・権力』 山川出版社 2007年

『寺社と社会の接点ー東国の中世から探るー 』高志書院 2021年

『宮城県石巻市東福田板碑群調査報告書―ひかり拓本技術の開発と応用―』東京大学史料編纂所 2022年

◎<第23回駿台歴史講座> 参加方法

□主   催:学校法人 駿台学園 駿台学園中学・高等学校

□後   援:森上教育研究所

  • 日   時:2025年5月17(土)15:00~16:30
  • 会   場:駿台学園中学・高等学校(東京都北区王子6-1-10)

JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子」駅徒歩10~12分

東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」徒歩12分

  • 講   師:菊地 大樹 先生(東京大学史料編纂所教授)
  • 題   目:『鎌倉新仏教論の現在』

 

【講演のお申込み方法】

事前予約は不要です。ただし、可能であれば準備の都合もありますので、事前登録にご協力ください。

 

◆形    式:対面(駿台学園多目的室にて実施)またはオンライン(使用アプリ:Zoom)

◆定    員:対面30名+オンライン

◆締    切:5月15日(木)23:59

◆参加費:無料

◆申し込み方法:下のURLもしくは、右のQRコードから登録画面に入り、事前登録ください。

https://docs.google.com/forms/d/17J1kLPhVfIvYLbSWBjf_dpVAESkicYG_501i3a3TIaY/viewform?edit_requested=true

  • Zoomのアプリは、無償でダウンロードが可能です。利用法は、至って簡単です。
  • 申し込みが完了した方に参加用のID、パスワード等をEmailでお送りするのは、4月11日(金)以降となります。Emailはhistory@sundaigakuen.ac.jp>から送信しますが、受信拒否されることが間々あります。受信が拒否されないよう、予め設定をお願いします。
  • 当日は、講義開始15分前までにZoomからミーティングに参加、またはご来校ください。Zoomに参加する際は、申し込み時と同じ名前をお使いください。
  • 当日の13:00以降は、担当者が会場にて講座準備を行うため、Emailのチェックができないことがありますので、予めご了解ください。
  • gmailのアドレスへの本学園からの送信が不調となるケースが多発しています。可能であればgmailのアドレスでの登録は避けて頂ければと思います。

 

【お問い合わせ先】

◎オンライン講演、その他のお問い合わせは、Email・電話で担当までお願いします。

電話:03-3913-5735         email:history@sundaigakuen.ac.jp       担当 平瀬

◎2025年度のこの後の予定